2025年12月8日付で、毎月勤労統計調査 令和7年10月分速報が公表されました。
対象は「事業所規模5人以上」で、名目賃金・実質賃金・パートタイム賃金などについて、前年同月比などの変化が報告されています。 以下、注目すべきポイントを整理します。
名目賃金は安定して上昇を続けており、賃上げ傾向は継続中といえます。
正規・非正規を問わず、賃金上昇が継続。
実質賃金指数(2020年平均=100、持ち家帰属家賃を除く消費者物価指数で実質化)は 82.0(前年同月比 -0.7%)。これで 10か月連続マイナス。
また、消費者物価指数(総合)で実質化した場合でも 83.6、前年同月比 -0.4%。こちらも 3か月連続のマイナス。
参考として、当月の消費者物価指数(持ち家帰属家賃を除く総合)の前年同月比は +3.4%。
名目賃金は上がっていても、物価上昇ペースに賃金の伸びが追いついておらず、「実質」では購買力が低下している点に注意。
名目賃金は上昇が続いているものの、実質賃金は引き続きマイナス。企業においては名目だけでなく、実質ベースの「社員が実感する賃金」も踏まえた賃金制度の見直し提案が求められます。
物価高が続く中で、賃上げはしているにもかかわらず実質賃金低下により、従業員が生活実感とのギャップを感じている可能性が高いです。事務所として、顧問先に対し「実質賃金」や「生活実感」に配慮した助言が重要です。
46か月にわたる名目賃金のプラスが継続しているが、実質賃金のマイナスも継続している。今後、どこで転換するか、あるいは実質賃金改善が見られるか注視してください。
2025年10月の毎月勤労統計速報では、「名目賃金は上昇継続」「ただし実質賃金は10か月連続のマイナス」がポイントです。物価高が続くなか、単に名目を基準にした賃上げ・賃金制度ではなく、実質賃金の購買力や従業員の生活実感を視野に入れた支援・助言が、社労士としてますます重要になっています。