トップ 通勤手当の非課税限度額が改正される可能性があります!

通勤手当の非課税限度額が改正される可能性があります!

令和7年8月7日に令和7年人事院勧告が行われ、令和7年4月1日以降の措置内容として自動車などの交通用具使用者に対する通勤手当の額の引上げが以下のとおり勧告されました。

【通勤手当】

  • ①自動車等使用者に対する通勤手当について、民間の支給状況等を踏まえ、以下のとおり見直し
  • ②職員に対して適時適切に通勤手当を支給するため、採用や異動の日から通勤手当を支給できるよう支給方法を見直し
     (1) 「100㎞以上」を上限とする新たな距離区分(5㎞刻み)を新設(上限66,400円) (現行は「60km以上」)
     (2) 現行の距離区分についても、200円から7,100円までの幅で引上げ
     (3)1か月当たり5,000円を上限とする駐車場等の利用に対する通勤手当を新設

《①(1)及び(3)は令和8年4月実施、①(2)は令和7年4月実施、②は令和8年10月実施》

これを受け、今後、通勤手当に係る所得税の非課税限度額の改正が行われる場合には、年末調整において、25年4月に遡って対応が必要となる可能性があります。年末調整を行う前には、「こちら」で最新情報を必ずご確認いただきますようお願いします。

そもそも人事院勧告とは??

人事院勧告は、国家公務員の給与や勤務条件について、人事院が毎年、民間企業の給与水準と比較して適正かどうかを調査し、内閣と国会に勧告する制度です。給与の引上げや手当の見直しなどが内容に含まれ、公務員だけでなく、民間企業の賃上げの参考指標としても注目されています。

人事院勧告と民間給与にどのような関係性があるのか??


  1. 世間相場(民間給与)を反映して決定される
    人事院勧告は、原則として「民間給与との均衡」を基本としています。企業規模100人以上の民間企業を対象に、国家公務員と同じような仕事をしている従業員の給与水準を調査し、その結果をもとに公務員給与を決定します。
    つまり、公務員給与は「民間に合わせる」形ですが、逆に言えば、人事院が「民間はこれくらいの給与水準」と公表すること自体が、民間企業にもひとつのベンチマーク(基準)として意識されることになります。
  2. 地方公務員や独立行政法人にも波及
    人事院勧告は国家公務員を対象としていますが、地方公務員の給与決定にも強く影響します(各自治体で地方公務員給与の見直しが行われる)。また、独立行政法人なども国家公務員に準拠した給与体系を採っていることが多く、結果的に多くの「準公的組織」に影響を及ぼします。
    こうした動きは、関連業界の民間企業(たとえば自治体業務の委託企業など)にとっても無視できない要素となります。
  3. 世間の「賃上げムード」に影響を与える
    毎年夏に発表される人事院勧告は、労務担当者や経営層が注目するニュースです。
    • たとえば「月給〇〇円引き上げ」「一時金〇カ月支給」などの内容が報道されると、企業側も自社の給与水準や賃上げ計画を考える際の参考材料となりえます。
    • 春闘や労使交渉においても、人事院勧告の内容が材料として使われるケースがあります。
  4. 公的な統計資料として利用される
    人事院が発表する給与実態調査や勧告資料には、民間企業の給与水準や手当の動向などが詳細にまとめられており、信頼性の高い情報源です。これを利用して、
    • 労務担当者が自社の給与の妥当性を検討
    • 社労士が顧問先へのアドバイス材料として使用
    するケースも多く、間接的な影響を与えています。


まとめ:民間企業にとっての人事院勧告の意義

影響内容 説明
民間給与の「平均像」の提示 人事院の民間給与調査は企業にとって基準となる
賃上げの社会的圧力 勧告内容が報道されることで「賃上げムード」が醸成される
関連業界への波及 公的部門と取引のある民間企業にも間接的に影響
資料としての価値 労務政策や給与改定の根拠資料として使える

参考リンク