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令和7年6月 毎月勤労統計調査速報
令和7年6月 毎月勤労統計調査速報
実質賃金は6か月連続のマイナス
厚生労働省より、令和7年6月分の「毎月勤労統計調査」結果速報が公表されました。労働者の賃金動向は、企業の賃金設計、労使交渉、社会保険料の算定など、多岐にわたる業務に直結する重要な情報です。
1. 名目賃金(一人平均)の動向:堅調な増加が継続
令和7年6月の名目賃金は、以下の通り堅調な増加傾向を示しています。
(1) 就業形態計
- 現金給与総額〔規模5人以上〕 511,210 円(2.5%増)※42 ヵ月連続プラス
〔規模 30 人以上〕 619,893 円(2.8%増)※52 ヵ月連続プラス
- きまって支給する給与 289,819 円(2.1%増)※44 ヵ月連続プラス
- 所定内給与 270,244 円(2.1%増)※44 ヵ月連続プラス
- 特別に支払われた給与 221,391 円(3.0%増)
(2) 一般労働者
- 現金給与総額 685,150 円(3.0%増)※51 ヵ月連続プラス
- 所定内給与 342,784 円(2.5%増)※53 ヵ月連続プラス
(3) パートタイム労働者
- 時間当たり給与(所定内給与) 1,388 円(4.0%増)※48 ヵ月連続プラス
これらの名目賃金の継続的な増加は、労働市場の堅調さを示唆しており、企業の採用戦略や賃金改定を検討する上で重要な指標となります。
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「現金給与総額」とは、賃金、給与、手当、賞与など、名称を問わず労働の対償として使用者が労働者に通貨で支払うもので、所得税や社会保険料などを差し引く前の金額です。これは「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」の合計額を指します。
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きまって支給する給与(定期給与)は労働協約や就業規則等で定められた支給条件、算定方法によって支給される給与で、基本給、家族手当、超過労働手当などが含まれます。
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所定内給与、きまって支給する給与のうち所定外給与(超過労働給与)以外の部分を指します。具体例としては、基本給、職務手当、地域手当、家族手当などがあります。
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特別に支払われた給与(特別給与)は、夏冬の賞与、期末手当などの一時金や、支給事由が不定期なもの、3か月を超える期間で算定される手当(6か月分の通勤手当など)、ベースアップの差額追給分などが該当します。
2. 実質賃金指数の動向:6ヵ月連続のマイナス
名目賃金は増加している一方で、実質賃金はマイナスが続いています。
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現金給与総額は141.1(同1.3%減)となり、6ヵ月連続のマイナスを記録しています。
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消費者物価指数は前年同月比で3.8%上昇しています。
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「実質賃金」とは、名目賃金指数を消費者物価指数で除して算出されるもので、物価変動を考慮した購買力を示す指標です。名目賃金が増加しているにもかかわらず実質賃金が減少している状況は、物価上昇が賃金上昇を上回っていることを意味し、労働者の実質的な購買力が低下していることを示しています。
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