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2025年4月施行!育児・介護休業法の改正ポイントをわかりやすく解説!
【2025年4月施行】育児・介護休業法の改正ポイントを
わかりやすく解説!

2025年4月1日より、育児・介護休業法が改正され、仕事と育児の両立を支援するための新たな制度が導入されます。今回の改正により、顧問先担当者と育児介護休業規定の変更について話題に上がる機会も多いのではないでしょうか。改めて育児と介護に分けて主な改正点をまとめてみました。
育児に関する改正点
▼2025年4月1日施行
項目 |
内容 |
子の看護等休暇の見直し |
- 対象拡大:小学校就学前の子から、小学校第3学年修了時(9歳に達する日以後の最初の3月31日)までの子を養育する労働者が対象となります。
- 取得事由の追加:従来の「子の病気・けが、予防接種、健康診断」に加え、「感染症に伴う学級閉鎖等、入園(入学)式、卒園式」への参加も取得事由として認められます。
- 名称変更:「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に変更されます。
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所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大 |
3歳未満の子を養育する労働者から、小学校就学前の子を養育する労働者まで対象が拡大され、該当労働者が請求した場合、所定労働時間を超える労働をさせることが制限されます。
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短時間勤務制度の代替措置にテレワーク等を追加 |
3歳未満の子を養育する労働者に対し、短時間勤務制度の代替措置として、テレワーク等の導入が可能となります。
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育児休業等の取得状況の公表義務の適用拡大 |
従業員数1,000人超の企業に加え、301人以上の企業も育児休業等の取得状況の公表が義務化されます。
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▼2025年10月1日施行
項目 |
内容 |
柔軟な働き方を実現するための措置 |
3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に対し、事業主は以下の措置から2つ以上を選択して導入することが義務付けられます。
- 始業・終業時刻の変更
- テレワーク等(1ヶ月あたり10日以上)
- 保育施設の設置運営等
- 新たな休暇の付与(年間10日以上)
- 短時間勤務制度
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仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮 |
妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、事業主は労働者の仕事と育児の両立に関する意向を個別に聴取し、その意向に配慮することが義務付けられます。
(
参考リンク:厚生労働省 )
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介護に関する改正点
▼2025年4月1日施行
項目 |
内容 |
常時介護を必要とする状態に関する判断基準の見直し |
介護休業等の取得対象となる「常時介護を必要とする状態」の判断基準が見直され、より明確化されます。 |
介護両立支援制度等の個別の周知・意向確認、早期の情報提供 |
介護に直面した労働者への対応: 家族の介護が必要となった労働者に対し、事業主は介護休業等の制度を個別に周知し、意向を確認することが義務付けられます。
早期の情報提供: 労働者が介護に直面する前の早い段階(例えば40歳時)で、事業主は介護に関する情報を提供することが求められます。
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介護両立支援制度等を取得しやすい雇用環境整備の措置 |
事業主は、労働者が介護休業等の制度を利用しやすい職場環境を整備するための措置を講じることが求められます。 |
介護休暇を取得できる労働者の要件緩和 |
介護休暇を取得できる労働者の要件が緩和され、より多くの労働者が介護休暇を取得しやすくなります。 |
育児・介護のためのテレワーク等の導入(努力義務) |
事業主は、育児や介護を行う労働者がテレワーク等を利用できるよう、制度の導入に努めることが求められます。 |
これらの改正により、労働者が育児や介護と仕事を両立しやすい環境の整備が進められます。
リーフレットについてもいくつか公開されています。
法改正概要
A4リーフレット
支給申請手続きパンフレット
育児・介護休業等に関する規則の規定例
育児・介護休業法のあらまし
業務取扱要領
背景と改正の理由
今回の改正を顧問先へお伝えする際、法改正の背景や理由について話題になるケースも多いのではないでしょうか。少子高齢化の進行と仕事と家庭の両立支援の必要性といった路線でお話しするとわかりやすく伝えられるかもしれません。
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少子化対策としての育児支援強化
- 近年、日本の出生数は減少の一途をたどり、合計特殊出生率は1.2を下回る水準になっています。
- 政府はこの問題に対応するため、男性の育児参加を促進し、女性がキャリアを継続しやすい環境を整えることが重要だと考えています。
- しかし、現状では男性の育児休業取得率は依然として低く(2022年度で約17%)、これを引き上げるために企業に取得状況の公表義務を拡大するなどの措置が取られました。
- また、短時間勤務制度の拡充やテレワークの活用促進などを通じて、育児と仕事の両立をよりしやすくする仕組みも導入されています。
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介護離職を防ぐための制度強化
- 一方で、日本は急速な高齢化が進んでおり、2025年には団塊の世代(1947~1949年生まれ)がすべて75歳以上になります。
- これにより、介護を必要とする人が増え、家族の介護を理由に離職する「介護離職」が深刻な社会問題となっています。
- 現在も年間約10万人が介護を理由に離職しており、労働力不足が続く中で、企業にとっても貴重な人材の流出を防ぐことが求められています。
- そこで、仕事と介護の両立を支援する制度を強化し、従業員が柔軟に働ける環境を整備することが改正の目的の一つになっています。
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企業への影響と対応の必要性
- 少子高齢化が進む中で、働き手の確保は企業にとっても重要な課題です。
- 「男性の育児休業取得」や「介護による離職防止」の推進は、単なる制度変更ではなく、企業の人材定着や職場環境の改善にもつながります。
ポイント
- 少子化対策として、育児と仕事の両立支援を強化する必要がある
- 介護離職を防ぐため、働きながら介護がしやすい環境を整備する必要がある
- 企業における人材確保・定着の観点からも、柔軟な働き方の導入が求められる
2025年4月1日からの育児・介護休業法の改正は、少子高齢化の進行に対応し、仕事と家庭の両立を支援するために行われます。企業にとっても、育児・介護をしながら働く従業員の支援を強化し、働きやすい環境を整えることが求められる時代になっています。
また、2025年10月には、さらなる改正が予定されており、3歳以上小学校就学前の子を持つ労働者の柔軟な働き方を支援する措置が義務化されるなど、企業の対応がますます重要になります。