毎月勤労統計調査は、雇用、給与及び労働時間について変動を毎月明らかにすることを目的とした調査です。この調査は、常用労働者5人以上の事業所を対象とし、毎月の賃金・労働時間・雇用の変動を把握するものです。
景気動向の判断や、政策・企業の賃金・労働条件の参考資料として広く使われます。今回の対象事業所数は 32,673 事業所、回答事業所数は 25,256 事業所で、回収率は 77.3%でした。本年9月の確報が公表されましたので概要を紹介します。
総じて、名目賃金は「所定給与」「特別給与ともに上昇」。パートタイムも含め、幅広く賃金が上向いた月となりました。
| 指標 | 実質賃金指数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 消費者物価指数(持家帰属家賃除く総合)で実質化 | 81.9 | ▲1.3% |
| 消費者物価指数(総合)で実質化 | 83.5 | ▲0.7% |
賃金の「額面」は上がったものの、「購買力」で見ると低下。給与アップが必ずしも実感につながっていない可能性を示唆しています。
パートタイム労働者の給与、特に所定内時間あたり賃金は 1,388 円(前年比 +2.8%)と上昇。
これにより、働く時間あたりの時給水準の改善がみられます — ただし物価上昇が続いているため、やはり実質賃金の観点では注意が必要です。
この統計は、国内における「賃金」「雇用」「労働時間」の月次の動きをとらえる重要な指標で、企業の賃金政策や労政を考えるうえでの基礎データとなります。 最近のように物価上昇が続く時期には、「名目賃金の上昇」だけでなく「実質賃金(購買力)の変化」をあわせてみることが、家計や企業経営の判断において非常に重要です。
2025年9月の毎月勤労統計では、名目では賃金が上昇し、特にパートタイムの時給改善がみられた一方、物価上昇によって実質賃金は低下しました。名目だけでなく、購買力ベースでの給与の実質水準もあわせて確認することが重要です。